2012/5/27

山場、きたー。  テレビ/ラジオ

 視聴率の低迷が囁かれている『平清盛』ではあるが、私の周囲ではうれしいことに、好評価の声を聞いている。でも確かになにか『つかみ』のような物には欠けるかもしれないな・・・とは思っていたのだ。大河のダイナミックさよりは、むしろ心理劇のような面白さにウエイトがあったから。

 そしてついにやってきました、(たぶん)物語の最初の大きな山場になる『保元の乱』が。そしてあっちからもこっちからもやってきましたよ、『つかみ』が。

 さまざまな事情により、王家(貴族)も武家(源平に代表される武士)も、肉親同士が争うことになった保元の乱なので、当然ドラマチックな場面が繰り広げられる。天皇の血を引く者同士、貴族の名門.藤原家の血を引く者同士、源氏の血を分けた親子、平家の血こそ分けてはいないが叔父・甥が、それぞれ敵味方に分かれて戦うのだから、面白くないわけがない。なかでも源氏の家臣、鎌田父子の前回から続く愛情物語には、泣かされる。

 それに決戦前日での、それぞれの陣営で繰り広げられる戦略会議の対比が素敵すぎる! どちらも提案されたのは「夜討ち」。それを、当代きっての切れ者二人が、同じ中国の文献からの引用をするんだけど、結論がまるで逆、というのが鮮やか。崇徳上皇側の藤原頼長が「そんな下衆で卑怯な手が使えるか」、後白河天皇側の信西が「ぐずぐずせずに、いますぐ戦にかかれ」という採決。
 ここ、もう一回観たい!というくらいの名場面だった。

 豪傑、鎮西八郎源為朝(ためとも)の活躍とか、平頼盛の屈辱とか、最愛の家臣、鎌田通清の死に遭い、悲しみのあまり戦の場に飛び込む源為義とか、見せ場の連続。

 なんだけど、政治の場から閉め出された左大臣、藤原頼長の転落ぶりとか動揺ぶりとかが、ひときわすばらしい(笑)
 それまでやりたい放題の権力者で、知識も知恵も品格も家柄も金品だってあるけど、性格は底なしに「いやらしい」というキャラクターが、ころがりおちていき、身近にいたひとたちから突き放されるのをみるのは、恐ろしくドラマチックでおもしろい。それに山本くん、うますぎ!

 いくつかの大河で絶妙な使い方で演出を盛り上げる「鸚鵡「おうむ)」も、今回は頼長のペットとして最大の演技力を発揮してくれました! 彼のナルシスティックな自信、地位の落差、悲劇的な人生を象徴してくれる。

 悲しさや切なさだけではない。敵方の門から入場する元・海賊の棟梁、兎丸の「戦、大好き!」な満面の笑みとか、叔父・忠正が清盛を「その、もののけの血を!」というのに呼応して「(『もののけ』ではない、)『もののふ』だ!」と叫ぶ清盛とか、シリアス場面なのに、ちょっとした抜け感が面白い。

 土曜日の再放送でしっかり復習して、次回の敗者、上皇側の悲劇に臨まなくては。未視聴の方は、「お値打ち」な土曜の再放送を観て、受信料の元を取り戻しましょう。
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