「≪正社員とパートや非正規社員の中間的な位置づけの新たな雇用形態『準正社員』とは!?≫」
社説
以前、水面下では解雇ルール作りの法整備の動きがある、というお話しました。
それがまた一つ前進したようですね。
準正社員なる雇用形態を正式に確立させるようです。
この日経の記事を見てみてください。
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政府は職種や勤務地を限定した「準正社員」の雇用ルールをつくる。15日に開く産業競争力会議で提案し、6月にまとめる成長戦略の柱とする。職種転換や転勤を伴わない分、企業は賃金を抑え、事業所の閉鎖時に解雇しやすい面がある。労働者は人生設計にあった働き方の選択肢が増える。人材移動を促して産業構造の転換に柔軟に対応できるようにし、日本経済の底上げにつなげる。
日本の労働法や判例では、人員削減する企業は解雇回避の努力や人選・手続きの妥当性などの条件を満たす必要がありハードルが高い。このため企業は正社員ではなく解雇しやすいパートを増やしがちだ。正社員は仕事がなくても社内に残り産業の新陳代謝が進まない要因になっていた。
企業が正社員とパートの中間的な位置づけで地域や職種を限定した準正社員を雇いやすくなるよう政府が雇用ルールをつくる。人事制度上の扱いや雇用契約、事業所閉鎖時の対応で一定の基準を示し、解雇の際の訴訟リスクを減らす。
現在の法制でも地域や職務を限定した雇用契約は認められるが、多くの企業は解雇した場合の訴訟リスクを恐れ、定着していない。経団連は「いざという時の使用者側の雇用保障の責任がはっきりせず、活用しにくい」とルールの明確化を求めていた。
準正社員の賃金水準は正社員の8〜9割だが、期間の定めのない無期雇用で、社会保険にも加入できる。パートや派遣などの非正規社員より生活が安定する。出産を機に退社していた女性の正社員が子育て期間だけ準正社員として働く選択肢も生まれる。
流通業や製造業などの一部の企業はすでに準正社員制度を採用しており、そうした事例を周知していく。パートなど非正規社員を準正社員に転換させる企業への助成制度も拡充する。
産業競争力会議や経済財政諮問会議の民間議員は、雇用形態を多様化し成長分野への人材移転を促すよう求めていた。
労働組合側は準正社員を増やすことに慎重だ。連合は企業が正社員をより限定的にしたり、正社員の一部を準正社員に切り替えたりするのではと懸念し、安易な人件費削減に使われる可能性があると反発している。
大手百貨店は正社員とパートの中間的な職種を独自に導入。1年ごとに雇用契約を更新する契約社員が高島屋は正社員とほぼ同数いる。三越伊勢丹は正社員の3割程度で今春から採用を拡大する。福利厚生などは正社員に準じ、要件を満たせば正社員への登用試験の受験資格も与える。
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如何ですか?
労働者側の観点からすると、解雇ルールの緩和というのは、あまり、良いようには思えないと思います。
しかし、日本の正社員制度は、あまりにも守られ過ぎてしまっているため、実際問題、そのために、企業が正社員雇用に躊躇してしまっているのは、紛れもない事実です。
ですから、解雇ルールの緩和をしない限りは、正社員の敷居が高いのは事実であることは確かです。
一方で、準正社員なるものをつくると、企業が正社員ではなく準正社員の方へ都合よく割り振るのでは。。と、勘ぐる反発の声が出ているようです。
しかし、一つの基準として、転勤がない、職種転換がない、という条件をうたっておりますよね。
ということは、本人の要望による選択肢があるということになります。
よく、正社員にはなりたいが、転勤はやだ、残業はやだ、通勤は近くじゃなきゃやだ、でも、給与は高く。という人がおりますが、そんな人を企業が正社員にするわけがありません。
いつも言っておりますが、企業は、正社員という雇用を強く守る一方で、ある意味プライベートよりも、会社のために動くことを優先してくれることを正社員には託します。
正社員は、解雇されず、長く勤務出来、給与が高く、賞与があり、保険も完備。。という、労働者側の都合の良い解釈の目線だけで語られることが多いですが、
実態は、正社員というお墨付きの一方で、残業代はつかない、給与が安くなる、転勤はある、通勤2Hでも行かねばならない、というように、会社の都合を優先してくれる、ということを求められ、実際にそのように対応してくれる人が、正社員であるわけです。
ですから、そういう縛りが嫌なため、あえて派遣や契約社員を選択している人も多いわけです。
それなのに、どうも世間は、非正規雇用に対する扱い方が良くない。。と、企業側が責められるので、であれば、その中間を位置する、このような準正社員という制度があったほうが、良いと思います。
あくまでも本人が、転勤はNGで、職種を限定し、給与も正社員の8割で良いからこの雇用形態を希望している、ということが明確な雇用形態の制度があった方が良いと思います。
如何でしょう?
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