人手不足の医療分野の看護師を、外国人でも補おうという試みが、国を挙げて行なわれておりますが、どうも空回りして上手くいっていないようです。。
対象国は、フィリピン、インドネシア、新たにベトナムが加わりました。
僕も、以前から外国人を上手く活用して欲しいと願っているのでチェックしているのですが、現在の実態では、それは敷居が高すぎるでしょ。それでは、いつまで立っても外国人看護師が増えないでしょ。と思ってしまう内容です。
それで一番いやなのが、せっかく志しを高く日本で看護師として働くことを夢見て頑張ろう、と思ってくれている外国人達が、日本はハードルが高すぎるから。。と別の国へと方向転換してしまうようになってしまうことです。
国は、今のうちに緩和策を真面目に考えてもらいたいと思います。
では、実際にどのような現状になっているのか、皆さんにも知ってもらいたいと思います。
読売新聞のこちらです。
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国家試験合格者 外国人看護師ら2割帰国…介護働き手 支援必要
インドネシア、フィリピンとの経済連携協定(EPA※)に基づき、両国から看護師・介護福祉士の候補者を受け入れる制度で、国家試験合格者の約2割にあたる82人が既に帰国したことが26日、明らかになった。
日本政府は今月発表した成長戦略で、介護分野の働き手として外国人留学生の活用を掲げている。資格取得後も外国人が日本に定着するための制度見直しが求められそうだ。
厚生労働省の集計によると、制度を利用して入国した看護師・介護福祉士の候補者は2008〜13年度に計1869人。このうち計402人が国家試験に合格して資格を取得したが、今年6月現在、就労しているのは計320人にとどまり、残る82人は帰国していた。
合格後に帰国したのは、インドネシア人が68人(合格者の26・7%)、フィリピン人が14人(同9・4%)だった。
専門家によると、帰国の理由としては、親の介護や自身の結婚など個人的なものが多いが、
現場で日本語がうまく使えなかったり、ルールの徹底や長時間労働など、厳しい労働環境に置かれたりして挫折するケースもあったと言われている。
介護人材は今後100万人規模で不足するとされ、合格者の就労継続の支援や、不合格者の再受験の支援などの必要性も出ている。
※EPA=Economic Partnership Agreement
【外国人看護師・介護福祉士候補者の受け入れ制度】
外国人が「看護助手」などとして日本の医療施設で3〜4年程度働きながら国家試験を目指し、合格すれば引き続き就労できる仕組み。EPA協定に基づき、2008年度にインドネシア人、09年度にフィリピン人で始まり、今年度からベトナム人も加わった。
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いかがですか?
このままでは、優秀な人材がどんどん流出してしまいますよね。。
もともと、既に自国での看護師の実務経験がある人もいて、せっかく日本語を学び、勉強してくれたわけですから、上手く活かすことを考えることが日本のためになります。
その上で、仮に看護師の道が断たれたとしても、何か他の受け皿を作るとか出来ないんですかね。。
そうしましたら、意図したわけではなかったのでしょうけど、新たな受け皿のようになっている流れが、偶然出来つつあるようです。
引き続き、読売のこちらを見てください。
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日インドネシアEPA 看護師不合格、日系企業に活路…帰国後、転職した女性「試験はダメだったけど、今は満足です」
日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)に基づき、日本がインドネシア人看護師を受け入れて7年目を迎えた。
国家試験の合格率向上や日本への定着が課題となる中、日本政府は24日発表の新たな成長戦略で「外国人が活躍できる社会」をうたい、在留資格を拡充する可能性などに触れた。
その狭間で、「夢」破れて帰国した「エリート看護師」たちの今を追った。
日本語武器企業も高評価
「家族や友人を残し、泣きたい気分だけど、がんばります」
今月15日、ジャカルタで行われた看護師・介護福祉士第7陣候補者187人の壮行会。代表であいさつしたハリスマンさん(23)は、期待と不安が入り交じる心境を日本語でこう語った。
看護師候補生はインドネシアで資格を持ち、2年の実務経験を積んだエリートたち。
事前研修で日本語を半年間学び、日常会話ができるレベルを全員達成した。ただ、訪日後には厳しい現実も待ち受ける。
過去6年、1048人が参加したが、「言葉の壁」に苦戦し、国家試験合格率は約24%にとどまる。不合格者は在留資格を失い帰国する。
◇◇
「はい、インダです。どうなさいましたか?」
南ジャカルタにある高層ビルのオフィス。
日系の医療サポート会社「ウェルビー」で働くインダ・アグスティナさん(34)は、日本人駐在員の緊急の電話に滑らかな日本語で応えた。事故や病気に対応し、総合病院の紹介、通訳としての付き添いなどに奔走する。
NHK連続テレビ小説「おしん」の海外放送を見て育ったインダさんはEPA第2陣の候補生。
フィリピンの看護大学に留学した経歴を持ち、「もっと勉強したい」と2009年に日本に渡った。日本では資格がないため、受け入れ先の病院でベッドの手すりをきれいにする日々。「患者さんの体をふいたり、排せつを手伝ったり、看護助手の仕事しかさせてもらえず、『何やっているんだろう』」と悩みもした。
幼い息子2人を世話するため夫は仕事を辞め、約14万円の自分の手取りのほとんどを仕送りし、勉強に打ち込んだ。
だが、看護師試験に3回失敗。「日本語は長い文章だと理解しにくい。(外国人への救済措置で)時間を長く取ってくれても、分からないものは分からない」。
看護師として自負はあるが、その力量だけでは克服できない限界を感じた。「患者さんから『あなたが帰ったら、私死んじゃうよ』と引き留められた」が、家族との別居も耐えきれず、13年に帰国した。
復職した国立病院の月給は、最低賃金をやや上回る4万円程度。自信を失っていた昨年末、「日本語を生かせる」と友人の勧めで転職、給料は2倍に増えた。
「相手の目線で話すことと時間厳守を日本で学びました。試験はダメだったけど、今は満足です」と笑顔を見せる。
看護師試験に失敗したが、日系
企業に転職したインダさん(右)
インダさんの同僚、シスカ・ロマウリさん(27)は国家試験に合格したが帰国を選んだ。「日本で働きたい気持ちもあったが、3年間働いたし、母親が『帰っておいで』と言うから」と話し、家族の存在を理由に挙げた。
再挑戦組 一握り
1500社以上の日系企業が進出するインドネシアでは、EPAを活用後に帰国した人の日系企業への就職が相次いでいる。
全体数は不明だが、帰国した475人のうち、半数以上に上るとみられる。ホンダやユニチャームなど異業種への転身者もおり、「EPAを経て日系企業に就職」は看護師の新たなキャリアパスとなっている。
企業側の評価は高い。
「ウェルビー」の担当者は「知識があり、勤勉で礼儀正しい。日本を理解しており、人材の定着につながる」と話す。同社は医療スタッフ10人全員を帰国組が占める。同国に進出する日本の医療機関は増える見込みで、今後はこうした職場で、看護師や事務職などとして「貴重な戦力になる」との期待が高まる。
◇◇
日本で働く夢を諦めないEPA出身者もいる。帰国後に介護福祉士に再挑戦したムハンマド・ショリヒンさん(30)は、今年合格を果たした。「本当は看護を勉強したかったが、『2年の実務経験』が要件で応募できなかった。だから介護福祉士を選んだ。
漢字や専門用語は難しかった」と振り返る。そして、「将来はこれから考える。もっと勉強してケアマネジャーの資格も取りたい。5年ぐらいは日本で働いて、それから帰ってくるか決めたい」と話した。
ただ、「再挑戦組」はほんの一握りだ。日本政府は模擬試験の実施など後押しをするが、看護師試験の再受験者は延べ約30人、合格者は2人だけだ。スポンサーが見つからない限り、再挑戦の渡航費や宿泊代は本人負担であることが原因だ。
インドネシア看護協会のプルワニングシ代表は「EPA出身者は高いステータスを得て、家族もいる。資金援助があっても、それを捨てて再び日本に行くのは相当難しい」と打ち明ける。一方、看護業界の一部では、「せっかく育てた人材を日本に取られた」との恨み節も出ているという。
育成費用 日本持ち…合格でも家族都合で帰国
看護師・介護福祉士の受け入れでは、制度そのものの課題も浮き彫りになっている。
難関の国家試験に合格しても、帰国する例は「日本側の損失」だが、背景には30歳までに結婚するイスラム教の習慣や家族の事情などがある。桜美林大学の浅井亜紀子准教授は「資格取得後に家族やパートナーを呼び寄せる環境作りが必要」と指摘する。
日本とインドネシアのEPAでは、インドネシア側が関税障壁の見直しを受け入れる見返りに看護職の育成を求め、日本側が費用負担を含めてこれに応じた。
この仕組みは、他国とのEPAでも採用され、日本は今年度、計約20億円を投じる。渡航費や日本語研修費用などを日本側が全て負担する今の仕組みは見直すべきだとの主張もある。
ただ、送り出す国の側が財政負担に応じるのは困難とみられ、専門家からは「海外でEPA出身者を雇用する日本企業から出資を募り、研修費用などに活用すべき」などの指摘が出ている。
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どうです?
日本のグローバル展開が当たり前になってきた今、今後は、こういう現地の日系企業で働ける人材が、非常に貴重で大事になって行きます。
少なからず日系を志したということは、親日派であるため、上手く取り込み戦力にしていくことが企業に求められていくことになるでしょう。
高齢化社会により、医療分野は、今後、メインのサービス事業になっていきます。
皆で良い日本の環境をつくっていかねばなりません。
皆で理解と協力をしてやっていきましょう。

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