先日は、旅行における訪日外国人と、外国人労働者の今、についてお話ししました。
今回は、外国人と日本の医療についてのお話しです。
東京オリンピックに向けて、今後、ますます訪日外国人は増えて行くと予想されます。
さらには、日本に長期滞在し、居住する人達も増えてきております。
で、外国人の数が多くなれば多くなるほど、楽しいことばかりではありません。
必然的に、事故によるケガや病による病気のリスクの数が増えます。
そうなると、外国人が日本の医療機関で受診する機会も増えるようになります。
でですね、現在、この状況に一つ課題が急浮上してきていることをご存知でしょうか。。
早速、日経で見て見ましょう。
-------------------------------------------------------------------------
ニーズ高まる医療通訳
日本に住む外国人や旅行などで訪日する様々な国籍の人々が医療機関を受診するのをためらう大きな要因となっているのが「言葉の壁」だ。医療の国際化には、医療提供者と外国人患者のコミュニケーションを仲立ちする医療通訳者の存在が欠かせない。
Q 海外の医療通訳の実態は。
A 国際的な医療交流に詳しい中村安秀大阪大大学院教授によると、韓国は海外から患者を呼び込む「医療ツーリズム」に国を挙げて取り組んでいる。同国保健当局は医師や看護師のほか、外国語に堪能なスタッフ数十人をトレーニングして、英語、日本語、ロシア語、中国語、アラビア語の医療通訳士を育成し、主要病院で雇用している。
米国は2000年に当時のクリントン大統領が大統領令を発令し、英語が不自由な患者に対し、医療機関が無料で医療通訳サービスを提供することが義務付けられた。
------------------------------------------------------------------------------
いかがですか?
ちょっと、これは詳しく見て見る必要がありあそうですね。
引き続き、日経をご覧ください。
-------------------------------------------------------------------
国境を越えて(1) 痛みはキリキリ?
「おもてなし」カギ握る通訳
聖路加国際病院(東京・中央)の「国際係デスク」は病院に入ってすぐの総合受付にある。外国人の患者を案内する専用の窓口で、英語や中国語、ロシア語など5カ国語で応対。必要なら診療時の通訳もする。院内の案内は4カ国語で表記し、ホームページを2013年から8カ国語で読めるようにした。
明治期の外国人居留地に米国の宣教医師が前身を創設した同病院は、国際化対応が最も進んだ病院の一つ。外国人が年間440人入院し外来で約1万8600人訪れる。医事課の原茂順一マネジャーは「スタッフで対応できない場合は24時間対応する電話通訳会社を使う」と説明する。
医師(左)と外国人患者(中)の会
話を通訳する病院スタッフ
(東京都中央区の聖路加国際
病院)
五輪へ拠点拡大
日本で暮らす外国人は200万人を超え、観光や仕事で訪れる人は年間1340万人に達した。だが、同病院のように、外国人が安心して受診できる医療機関はまだ少ない。これでは5年後に迫った東京五輪・パラリンピックのホスト国として心もとない。政府は拠点となる病院を20年までに全国に30カ所設ける計画を掲げ、昨年7月に閣議決定した「健康・医療戦略」に外国人向け医療サービスの拡充を盛り込んだ。
最大の障壁が「言葉」であることは明白だ。医療用語はただでさえ分かりにくい。外国語に訳すには専門のトレーニングが必要になる。こうした中、存在感が増しているのが、医療通訳者だ。厚生労働省研究班が13年10月、全国の病院を対象に実施した調査(766病院回答)でも、約73%が外国人患者の受け入れに向けた課題に「医療通訳の養成」を挙げた。
約20万人の外国人が暮らす愛知県。12年に県が立ち上げた「あいち医療通訳システム」は画期的な行政サービスとして、各自治体の注目を集める。
英語や中国語のほか、ポルトガル、スペイン、タガログの各言語の医療通訳を養成・認定し、医療機関の要請を受けて派遣する。専門会社による電話通訳にも応じる。通訳者は延べ217人に達し、利用する医療機関も当初の54施設から82施設に増えた。
国立病院機構名古屋医療センターの横幕能行医師は「痛みの症状でも、キリキリ痛むのかシクシク痛むのかという微妙な違いを通訳してくれる。患者の出身国の医療文化や慣習も理解している」と評価する。
Q 日本の参考になる取り組みはあるか。
A 人口の5分の1が外国人で、地域によって公用語も異なるスイスでは、1990年代に難民の増加で通訳のニーズが高まった。当時は非政府組織(NGO)や自治体、患者個人の縁故など様々な通訳サービスが混在していたが、04年に官民が連携して一定の知識と能力のある専門職を育成・認定し、医療現場などに派遣する国家統一の制度をつくった。
多文化共生センターきょうと(京都市)の重野亜久里理事長は「スイスの取り組みが成功したのは認定と派遣という2つの制度をセットで作ったからだ」と指摘する。医療通訳の歴史が浅い日本では、医療提供者や利用者が通訳の役割や専門性を十分理解していない。重野理事長は「必要性を実感してもらうことが重要だ」と話している。
-------------------------------------------------------------------------
どうです?
僕も、外国に旅行に行ったことはありますが、幸い事故や病気にはあいませんでした。
ただ、今、改めて考えると、もし、何かしらで、外国で医療機関にお世話になることがあったとした時に、日本語が通じないと不安だったよな。。って、今更ながら思ってしまいました。。
こういう想いが、日本を訪問、滞在する外国人に起きている、ということです。
そんな中、事故や病気でなくとも、日本の医療機関を訪ねてくる外国人たちもいるようです。そして、日本の医療機関もそんな外国人達を受け入れに取り組むようになってきた?
いったいどういうことなのでしょうか。
引き続き、日経を見てください。
----------------------------------------------------------------------
国境を越えて(2)患者受け入れ、海外に名乗り
先端治療が売り
東京都にある国立成育医療研究センター。日本の小児医療の拠点である同病院で1年前、ロシアから来たムヒトバ・サフィーヤちゃん(1)が母のミラウシャさん(32)から肝臓の一部を移植する手術を受けた。
移植技術に期待
サフィーヤちゃんは先天性の胆道閉鎖症。移植が必要と診断されたが、ロシアでは対応できる病院が見つからなかった。そこでミラウシャさんは外国の病院を調べ、移植医療が進んでいるという日本に来た。
母子は術後の経過観察のため、1月下旬まで都内で暮らす。サフィーヤちゃんも順調に回復。ミラウシャさんは「日本に来てよかった」と笑顔をみせる。
日本の一部病院で外国人患者の姿を見かけるようになってきた。海外からわざわざやって来る理由の一つには、日本の高度な医療技術への期待がある。
2014年11月に開業したばかりの病院、神戸国際フロンティアメディカルセンター(神戸市)も生体肝移植など高度医療が売り。1月末までに4人の外国人患者に移植手術を実施する予定だ。
京都大学名誉教授で生体肝移植の権威である同センターの田中紘一院長(72)は「内向きだった日本の医療のあり方を変える必要がある」と語る。
日本の病院は基本的に国内の患者を対象としてきた。その医療費は公的医療保険制度を通して支払われるが、財政難でその支払いは抑制基調。「今のままでは高度医療への投資も厳しくなりかねない」からだ。
600万人奪い合う
日本の人口は減り、将来は患者も減る。4年前から外国人患者と日本の病院の仲介業を始めた日本エマージェンシーアシスタンスは「海外からの患者への日本の病院の関心も徐々に高まっている」(国際医療事業部の麻田万奈次長)という。
世界ではすでに年600万人を超える患者が国境を越える。医療を産業としてとらえ、政府と民間病院が一体となった患者の獲得合戦が激しくなっている。
ところが経済産業省の推計によると、日本に来る外国人患者は年3万人弱。言葉の問題もあり、積極的に外国人を受け入れる病院はまだまだ少ない。東南アジアの方がずっと先を行く。
タイのバンコク病院には英語やアラビア語など32カ国語に対応できる医療通訳が常駐する。600ある病室はすべて個室。キッチンやソファを備え、ホテルの客室と見間違えそうだ。
そもそもは国内の患者向けに設立された民間病院だったが、「受診した旅行者や在留外国人から評判が広がった」(同病院の日本人職員、倉田舞さん)。13年の外国人患者数は21万人。全患者の4分の1を占め、売上高では4割を超える。
日本では現時点で病院勤務医が不足気味で、「外国人を診る余裕はない」といった声も根強い。今すぐ大変身とはいかないだろう。
ただグローバル企業の誘致や、20年の東京五輪時には外国人観光客2千万人を目指す国の病院の大半がいつまでも内向きでは心もとない。医療経済学が専門の真野俊樹・多摩大学教授は「外国人向け医療は日本が開かれた国になるために必要」と指摘する。病院も政府もどこまで本気で取り組むのかが問われている。
-------------------------------------------------------------------------
今後は、ますます言葉の壁を取り除くコミュニケーションが大事になりますね。。
僕も仕事上、外資系の医療システムに携わる英語の出来る人達を探すため、候補者の面接したりすることがあります。
ただ、普段から英語の出来るITエンジニアの人はいないばかりか、英語だけ出来る人は沢山いても、医療の専門用語を知っている英語の経験者の人はさらにおりません。
医療システムというと専門すぎますが、今回のように、お医者さんと外国人患者さんの間に立つ立ち位置の通訳者というのは、今後、かなりの需要が必要になると思います。
しかも、言葉は、英語ばかりとは限りませんから人手不足はかなりの大きな問題となります。
そこで。。少しでも人手不足を補うために、通訳システムの開発が進められているようです。
最後も日経のこちらです。
-------------------------------------------------------------------------
同時翻訳 10言語で 東京五輪視野にアプリ
総務省とNTTなど開発へ
総務省はNTTやパナソニックと協力して、日本語を含む10言語を高い精度で自動翻訳するアプリ(応用ソフト)の開発に乗り出す。外国人が病院で症状を説明するような複雑な会話もスマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)で瞬時に正しく訳せるようにする。2015年秋から実証実験を始め、訪日外国人が増える20年の東京五輪までの実用化を目指す。
自動翻訳は1つの言語でスマホなどに向かって話すと、別の言語に訳した音声が端末から出てくる仕組み。翻訳するのは外部サーバーで、端末とサーバーの間で音声データをやり取りする。英語と中国語など外国語同士でも翻訳できる。
利用者は専用のアプリをスマホやタブレットなどに入れて使う。訪日外国人が自分の端末に入れるか、あらかじめ病院や駅などの端末に入れておく。携帯電話会社などがアプリを提供する見通しで、基本的に利用料は無料になりそうだ。
日英中韓の4言語については、道を尋ねるような簡単な会話を翻訳できるアプリがある。今回はスペイン、フランス、タイ、インドネシア、ベトナム、ミャンマーの6言語を加え、複雑な会話も訳せるようにする。
総務省は15年度予算案で14億円の開発費を確保した。委託先を15年春に公募し、同年秋から実証実験に取りかかる。病院や駅、空港、百貨店など5〜10カ所で実験しながら精度を高める。
音声処理の技術を持つNTTやNTTドコモ、端末メーカーのパナソニック、自動翻訳の技術を持つ独立行政法人の情報通信研究機構など約10法人が請け負うとみられる。
駅や空港などの人が多い場所では端末が周囲の声も拾うため、正確な翻訳の障害になる。声の波形などを基に、会話とは無関係の声を除去する技術を確立する。総務省は16〜19年度もほぼ同額の予算を確保し、東京五輪前の19年度までに完成させたい考えだ。
-------------------------------------------------------------------------
通訳を目指している人は、このような活躍の場を目指すことも一つだと思います。

0