大阪、西天満にあるギャラリーです。
1969年の創業以来、現代美術の作品と西洋アンティークを中心とした骨董を扱っています。
ジャンルにとらわれない様々な美術品をご紹介しています。

2010/7/7  15:27

七夕  アンティーク

今日は七夕ですね。かといって普通に生活していると、特別な事は何もないのですが...
茶道のお稽古をしていると、毎年七夕についてお勉強するきっかけを頂いています。
昨日も私の先生が七夕の趣向でお茶会を催され、お呼ばれに行って参りましたが、それはもう、大変充実したひとときを過ごさせて頂きました。

いたるところに七夕を思い起こさせる仕掛けが散りばめられています。

例えば、待合(まちあい、文字通り、お茶席に入るまで待つお部屋のことです。)には、京団扇の老舗、阿以波(あいば)の十代 饗庭長兵衛さん作の美しい団扇が。白地に鵲(かささぎ)が2羽、斜め上に向いて飛んでいる図で「鵲の橋」という銘がつけられています。
これは、織女と牽牛が年に一度7月7日に天の川を渡って逢うことを天帝に許されるという有名な話がありますが、その天の川に鵲が橋を架けてくれて逢う事ができる、ということに因んでのものでしょう。

主菓子は涼しげな水色の葛菓子。銘は「八十瀬」(やそせ)です。
この御銘の意味を私なりに調べてみたら、後二条院御集に次の歌がありました。

袖ふるはほのかに見えて織女(たなばた)のかへる八十瀬の波ぞ明けゆく(御集)

「別れの袖を振るのはほのかに見えて、織姫が帰り道に幾つも越えてゆく川瀬の波が、次第に明るくなってゆく。」という意味だそうです。
なるほど〜。

干菓子は贅沢にも2種類。ひとつは、「牽牛花」もうひとつは「織姫」です。
牽牛花(けんぎゅうか)は、朝顔のことですね。この朝顔の別名になった由来は、銀のラッパが出てくる、少々物哀しい中国の昔話がありますが、今回はまぁ「牽牛」つながりで...?朝顔を象ったお干菓子。「織姫」は京都の松屋藤兵衛の有名なお菓子です。
牽牛を思わせる朝顔のお菓子が織姫を思わせる糸巻盆に盛られています。
「織姫」は七夕の由来となる乞巧奠(きっこうでん 女性が針仕事の上達を願う行事)の五色の糸を思わせる、五色の小さなかわいらしい丸い玉のお菓子です。器は、19世紀中頃に作られたボヘミアンガラスのコンポート。そして、替えの器として、同じくヨーロッパアンティークのフランス「サン・ルイ」のクリスタルのカクテルグラスを菓子器にされています。
両方とも、透明地に細かな花文様が彫られて金彩を施し、焼き付けたもの。特に、カクテルグラスを干菓子器として使われるというアイデアには、驚きとともに、色とりどりのお菓子が透明と金彩の器によく栄えて、本当に印象的でした。

ところで、このボヘミアのコンポートとサン・ルイのグラス、どちらもうちのお店で先生が選んでくださったものです。(実はこれが言いたかった!?)
こんなふうに、うちのお店に陳列されていた作品が、実際にお茶会で使って頂けているのを目の当たりにして、大変感動したのでありました!
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2010/2/19  17:39

春の風 1  アンティーク

現在、「春の風...」という展覧会の準備をしています。
ジャンルにとらわれず、とにかく「春」をモチーフにした様々な作品を展示してみたい、と思ったのです。もう、寒くて長い冬はうんざり!

今日から出品作品を少しずつご紹介したいと思います。

まず、最初の作品は、

「マンダリンを弾く春の精」

です!

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すごく夢のある図柄だと思いませんか?愛らしい女性が梅の木とおぼしき木の枝に座って楽器を演奏しています。そして、その周りは幾何学的にデザイン化されたピンクの花が線状にあしらわれています。背景は朱色から若草色へのグラデーション。うっとりとしてしまいます。

この作品で一番目を引くのは、この精緻に表現されたモチーフですが、そのほかにも大事な見所がいくつかあります。

まず、材質。これは、いわゆる七宝焼です。七宝焼とは何か?具体的にいうと、透明あるいは不透明なガラス物質を溶かして金属や磁器の表面に焼き付けたものをいいます。
素地となる金属には、金、銀、銅などが用いられその特徴によって使い分けされています。スイスで作られたレマン湖風景などの明るい仕上がりものは、金の土台、フランスのリモージュで制作された暗い色調に人物が浮かび上がるような作品には銀や銅の板が使われています。

この作品は、銅を素地に使ったフランスのリモージュ地方で19世紀の後半に制作されたものです。七宝は、表面がガラス質なので非常に繊細なゆえ、ブローチなどの小さい、平面的なものが多いのですが、この作品は、大きさもあり、かつ立体作品で内側にも七宝が施されているのです。そして、服のメタリックに光っている部分には、七宝の下に薄い銀を形に切って置いてあります。技術的にも非常にレベルの高いものです。

そして、描かれたモチーフは、実はとても日本美術に影響を受けたものなのです。
「梅」というモチーフは、当時ヨーロッパで大人気だった浮世絵に多々描かれており、ある意味、日本を象徴する植物でもあったと思います。ゴッホも浮世絵の梅の模写みたいな作品を描いてますし。この作品の面白いところは、この左右非対称で日本的に描かれた梅がある一方、余白部分には幾何学的にデザイン化された、ヨーロッパ的な装飾があしらわれていることです。こういう、スタイルの違う装飾技法が混在するのは、1870年代の後半くらいから1890年頃までのほんの短い期間のみなのです。そういう、装飾美術史的な観点からも、とても興味深い作品をいえます。

ところで、七宝焼は、英語のカタカナ表記ではエナメル、フランス語のカタカナ表記ではエマイユと書かれています。みんな、同じ技法を指します。ちなみに、「七宝」とは、もともと仏教用語で極楽浄土を飾る美しく稀少な7種の宝のことです。昔の日本人は、うまいこと名づけをしたもんだなぁと、変なところで感心をしてしまう今日この頃です。
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