立川市で45歳の母親がくも膜下出血で死亡し、4歳の長男が衰弱死するという悲しいニュースがありました。さいたま市では60代の夫婦と30代の息子が遺体で発見、東京都台東区でも90歳の父親と63歳の娘が遺体で発見、先月も札幌市で40代の姉妹が遺体で発見されるなどこのところ悲劇が相次いでいます。札幌のケースでは姉が区役所を訪れ「生活が苦しい」と3回も相談し、昨年6月には「今度、生活保護の関係書類を持ってくる」と言って必要な書類を聞いて帰り、生活保護申請の意向をみせていたにもかかわらずその後は相談がなかったそうです。生活保護とは日本国憲法第25条が保障する生存権に基づき、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに自立を援助する制度です。受給者は戦後の混乱期には200万人を超えていましたが、経済成長に伴って減少し、1995年には88万人までなりました。しかし、その後の経済悪化に伴い受給者が増加し、昨年3月には東日本大震災の影響もあり半世紀ぶりに200万人を突破、10月には207万人に達し、過去最高を記録しました。収入を少なく申告して不正受給をする者が多くいるなど問題点もある一方で、本当に生活保護が必要なのにさいたまや札幌のケースのように受給していない人もいます。
行政の責任も非常に大きく、埼玉のケースでは生活保護の未受給だけでなく、住民登録もされていなかったという。水道料金を滞納していたようですが水道は止めず「福祉課に連絡しなさい」とすすめたということは、水道局は氏名や住所や生活状況のデータを把握していたのに、住民課や福祉課ではそのデータすらなかったということになります。よく役所の縦割り行政の弊害が指摘されますが、その典型的なパターンです。お隣の韓国では電気・水道が止まったら行政に報告がいくシステムになっているそうですが、日本では無理なのでしょうか?
個人情報の問題もあり、隣近所との交流を避けている人もいるので、実際に今回のような事件が起きるまで実態がわからないことはあります。特に大都市などでは顕著なこととは思いますが、家族だけではなく近所との「絆」ということも今一度考えてみるべきではないでしょうか?

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