2014/6/26

贅沢品の中型バイクの販売数量が1.5倍に  


「ニンジャ、ください」

 近年、川崎重工業(カワサキ)のバイクを購入する人に、変化が表れている。ベストセラー車種の「Ninja 250」を買う人の半数近くがカワサキのバイクに乗ることが初めて、またはバイクに乗ること自体が初めてという初心者による“指名買い”が増えているのだ。

 そんな彼ら、彼女たちにとって、カワサキのニンジャは、“格好良いバイク”を想起させる象徴的な存在であり、販社のカワサキモータースジャパン(KMJ)には「ニンジャに乗りたいから二輪免許を取りました」という新規購入者の声が多く寄せられるという。

 日本自動車工業会の調査によれば、2013年に日本の4大バイクメーカーで新車を購入した人の平均年齢は51歳であり、スクーターに限っては60歳だった。日本では、“若者のクルマ離れ”がいわれるが、クルマよりもバイクのほうが高齢化は進んでいるのである。

 ところが、カワサキに関しては事情が異なる。13年に新車を購入した人の平均年齢は、業界平均より20歳も若い31歳だった。中・大型バイクが中心のカワサキは、実用車であるスクーターを出していないこともあるが、若者の人気が高まっているのである。

 KMJによると、例年、250ccクラスの販売数量は、国内は4000台前後で推移してきたが、13年には1.5倍の6000台前後に増えた。購買層の中心は20代である。

カワサキのバイクに限った話ではないが、中・大型バイクは新車の価格が50万円前後からという“贅沢品”である。凝り始めれば、改造費や維持費もかかる。

 ただでさえ、簡単に高額商品が売れなくなっている中で、販社のKMJとしては、今も一定の存在感を放つ“熱烈なカワサキ信者”とは異なる新規ユーザーも大切にしながら、少しずつ排気量の大きなバイクに乗り換えて、ステップアップしてほしいと考えている。

 そこで、これまで以上に重要性が増してきたのが、バイクに乗ることの楽しみを演出する“草の根作戦”である。

 KMJは、カワサキ乗りのために定期的にツーリング大会を全国各地で主催したり、メーカー直系のユーザーグループ「KAZE」の会員限定の情報誌を発行したりするなど、“購入した後の楽しみをつくる活動”に力を入れてきた。

 例えば、年間に20回近く各地で開かれる「KAZEグッドライダーズスクール」は、大型二輪免許を取りたてのビギナーや中高年のリターンライダーに対して、専門家が中・大型バイクを安全に乗りこなすためのコツを教えている。

 また、運転技術が少し上達して実際にサーキットを走ってみたくなったライダーを対象に、定期的に「KAZE SPA直入ライディングスクール」(大分県)を開く。こちらは、腕利きのインストラクターが、コーナリングやブレーキングの技術を伝授してくれる。

 ほかには、500人以上が参加する「KAZEチャレンジクルーズ」がある。年に2回、それぞれ3ヵ月間と期限を区切り、125cc以上と以下のクラスに分けて「どれだけの距離を走ったか」を競い合う。

 ルールはシンプルだ。チャレンジ開始時に自分が乗るカワサキのバイクを正規販売店に持ち込み、本人確認、日付やメーターの数値などをチェックして証明印をもらう。ゴール時は、同じ販売店で手続きし、エントリーシート(専用の葉書)をポストに投函する。

2つのクラスで、それぞれ上位6位までに入賞すると、カワサキオリジナルグッズとトロフィーがもらえる。入賞できなくても、いろいろな賞が用意されており、「飛び賞」(100位、200位、300位、400位、500位)や、「KAZE提携施設賞」(1泊2食付きの宿泊券)もある。

 ここまでは、「KAZE」の会員に限った話だが、広くバイク乗りに解放しているイベントも開く。

 すでに、全国各地で100回以上開いている「カワサキコーヒーブレイクミーティング」は、サーキット会場を回る。来場者は、「Z2」(750cc)や「ゼファー」(400cc)などの往年の名車に乗るファンが多く集結するが、2700人を超える規模になることもある。

 加えて、29歳以下の若い層に限定した「カワサキオーナーズU29ミーティング」もある。こちらは、大型のレクリエーション施設などを借りて、ピクニックやスポーツ、バーベキューなどが楽しめる催しで、各地を回って交流を深める。

 カワサキの“草の根作戦”の主要なものだけを挙げたが、これらのイベントを仕掛けてきたKMJの清水泰博取締役企画統括部長兼営業統括部長は、こう力を込める。

「過去にも、バイクに乗ることを楽しむイベントを企画してきたが、本質的には、やはり“モノをつくるのがメーカー”(川崎重工)であり、“コトをつくるのが販売会社”(KMJ)だと考えている」。

 実はKMJでは、過去に続けてきた活動について、13年に入ってからあらためて定義し直した。

 これからのカワサキが目指す方向として、@「おもてなし」(ユーザーが抱える問題を解決するサポート活動全般)、A「ことつくり」(各種のイベントなどを通して感動できるような機会を提供する)、B「質主量従」(質にこだわり抜けば販売数量は後からついてくる)を挙げる。3つの要素で成り立つ“三角形”に、企業活動そのものを集中させることにしたのだ。

 日本の4大バイクメーカーは、そのまま世界市場で通用する4大メーカーである。その頭文字から「HYSK」(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)と呼ばれており、総合力でもこの順番になる。

 カワサキが特化してきた中・大型バイクは、レジャー向けの贅沢品であり、なくてはならない製品というわけでもない弱点がある。

 ところが、“万年4番手”のカワサキは、世の中で「モノからコト」へと消費行動が移っていく流れにうまく乗っている。武骨で男っぽい大型バイクを愛する古くからのコアなファンを維持する一方で、近年にニンジャなどで新しく入ってきたビギナーのロイヤルティも獲得して、今もバイク業界で一定のプレゼンスを獲得しているのだ。

 しかも、ホンダ、ヤマハ、スズキの3社は、過去に会員の組織化(仲間づくりのお手伝い)を試みた時期があったが、いずれも頓挫した。現時点で、メーカー直系のユーザーグループが存続しているのは、業界4位が続くカワサキの「KAZE」だけなのである。

 昔から、万人向けとは言い難い“トンガリ続けたバイク”の性能で、ファンから一目も二目も置かれているカワサキであるが、今ではカワサキ乗りの“連帯感”を強化していることが競合他社も羨む結束力の高さにつながっている。

 カワサキの“草の根作戦”は、かつて米ハーレーダビッドソンの日本法人(販社)も手本にしたといわれる。バイクだけではなく、高額商品を販売する企業にとって、ユーザーとの絆を太くする施策の参考になるかもしれない。
(DIAMOND ONLINEより転載)

バイク乗りの平均年齢が高くなっている中、250ccクラスの中心購買層が20代というのはすごいですね!

バイクはカッコいいという認識は若者の間でもあると思うので、きっかけがあればバイク乗りになる潜在的ユーザーも多いのでは、と思います。

SIMPSONヘルメットを被りたいからバイクの免許を取りました!と言われるくらいになるようNORIXも頑張ってまいります。
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