2013/3/3


2013・三月三日

――國稀酒造の酒蔵は「 明治の夢」をも醸していた――


ライヴの翌朝、旧友澤井くんと「國稀酒造」を訪ねた。

年間、ここを訪れる人は多いと聞くが、さすがにオフシーズンなのか、私達が訪ねた時は、表戸の中は店とは言えしーんとした静けさだった。

この日は林社長自ら私達を案内してくださった。勿論、興味深い日本酒の話を沢山して頂いた。しかしながら、前夜の二次会でのやさしい笑顔は少しも変わらない。


この「國稀酒造」の建物は、実に風情があって味わい深い。
高倉健さんの映画「駅」のロケシーンなどで全国的に有名だ。

明治・大正の時代が染み込み、古色を帯びてすっかり黒ずんだ木肌が、時空を経て角が丸い。
玄関の広々とした土間。そこに開かれた、店頭の畳部屋はほの暗く、調度品の周りにはいまだに大正の空気が漂っているようだ。立ち止まって見ると、奥に続く座敷は、明治の人々の話し声が、その振る舞いまでが残されているのでは、と思われてくる。

私達は林社長と連れだって、中へ中へと進んでいった。澤井くんは林さんと若い頃からのお付き合いで我が家のように歩く。
すれ違いざまに挨拶していった若い<蔵人>は昨夜音響を作ってくれた南さんの息子さんだ。

私達は程なく一番古い酒蔵(さかぐら)に通された。明治時代からの大部屋だ。雰囲気をそのままに改築してある。
その板壁に、昨日書き残したように、当事のメモ書きが消えずにあった。当事の「たなおろし」の走り書きだった。

蔵元が、まだ呉服屋を営んでいた明治の頃のもので、反物の記録だだそうだ。

林社長はこの「走り書き」こそ、そのままにして置きたいと、目を細めた。私も残してくれて良かった思った。――なぜか。

ふと古い寺社などに残された当事の職人の文字と重なったのか。
今も貴重だが未来はさらにかけがいのないモノになる筈。
この走り書きは、高価な着物がわけも無く売れた、「増毛の黄金時代」を書き残したのかも知れないのだ。
あの群来が押し寄せた鰊漁が盛ん頃だ。

母親と娘が華やかな柄に帯を取り合わせた部屋か。芸者衆があきんど達とたわむれに反物を広げた部屋か。

時は過ぎても「走り書き」は様々な光景を映し出すのだ。

私達はその古い酒蔵を通ってさらにその奥へと入いるため鉄製の扉をひらいた。

とそこは、なんと現代の酒蔵だった。
私達は巨大なタンクが並んでいる醸造工場に入ってきた。
「國稀酒造」が全国へ向けて「銘酒」を送り出すため、近代的な機械が組み込まれ、強靭で繊細なシステムが動いている!。
電子機器で制御しながら「今日の酒」が巨大タンクの中で息づいているのだ。


私達は歩行しながら時間移動をしていたのだった。
その中、林社長の日本酒の話をうかがいながら。
酒米のこと、吟醸米の削りかた、こうじや酵母菌の話、その発酵の過程、そして進化する日本酒の世界。

その語りはおだやかで理路整然。熱く、そして愉しい。

酒の香りがたゆたう中、私はほんのり酔いが回っていたのでしょう。いい心地だ。

そして甘酒が口中に広がった。
林社長はアルコールゼロと言っていたけど、酒粕にひそんでいた「酒精」が私の中から立ちのぼったきた。

店の土間の台に無造作に置かれたおお玉のリンゴが、訳ありとあり、勝手にお金を置けば持って行ける。

土地の人々と共に酒造りをして来たんでしょうね。
土間はひんやりしているが、増毛の酒は寒空を温める。

林社長ありがとうございました。
私達はこれから腹ごしらえに〜

続く――

2013.3.3
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2013/3/10  9:08

投稿者:みかんちゃん

ご無沙汰していました。

国稀の酒蔵は大好き!
お酒も大好きで、余り日本酒に詳しくない私
宴会席では「国稀の冷酒」をあれば必ず頼みます。
残念な事に、そのぐい飲み1杯で2時間もつのです。
もっとお酒に強かったらグビグビ飲みたいと思うのですが。。。(ーー;)

http://orange.ap.teacup.com/manryou/

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