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くぼやすひと先生と私

2012/12/7 | 投稿者: パリッコ

あれは忘れもしない、2010年の6月28日。

青山のOATHという箱で開かれるパーティに、イオさんと共に出演させてもらった。
オールナイトのパーティで、僕は出演といってもDJではなく、それまで一度もやったことのなかった“ライブペインティング”でのオファーだ。

夏の香りが濃くなり始めた頃で、会場のドアはオープンになっており、箱の前の路上が絵を描くスペースだった。
近くにはベンチもあるし、バーで頼んだビールを持ち出すことも出来る。
フロアから漏れ聴こえるDJプレイはゴキゲンで、とても素敵な雰囲気一夜だったと記憶している。

キャンパスは畳一畳くらいの大きさで、そのおおよそのベースを描き終えた頃、深夜2、3時くらいかな?外国人のようにスラリとしてかっこいい1人の男性がベスパで表れて、声をかけて下さった。

「パリッコさんですか?くぼやすひとです。」

明らかにお会いしたことはなく、一瞬頭が混乱したけど、“くぼやすひと”という名前は強烈に知っている!
その響きを聴いただけでワクワクしてしまうような名前だ。

数秒後に全てを理解した僕は、今度はその信じられない状況にすっかり舞い上がってしまった。


くぼやすひと先生は、現在も多方面で活躍されている漫画家である。
http://members3.jcom.home.ne.jp/kubo-machine/Welcome.html


先生の作品と出会ったのは、小学校4年の時。

「まだかなまだかな〜、学研の、おばちゃんまだかな〜」

これがメロディ付きで脳内再生される方は、それ相応の年齢であろうと思う。
学研という会社が、それぞれの学年向けに毎月発行していた「科学」と「学習」という雑誌のCMソング。
残念ながら2009年に休刊してしまったそうだが、当時はTVCMをやっていたくらいなので、ご存知の方も多いだろう。

いわゆる小学生向けの学習雑誌で、我が家でも親が僕に読ませるようにと定期購読してくれていた。
この科学と学習の中の「4年の学習」だけで読める、漫画ベースで進行する読者ページ「ピコピコシティ(“ピコピコ”以降は年によってタイトルが変わる)」が超〜面白くて大好きだった。
他の内容は全然全く覚えてないけど、このコーナーの楽しさだけは今でもハッキリと印象に残っている。

僕は一人っ子で、例えばお兄ちゃんが買った漫画雑誌を借りて読むとかって文化がなかった。
つまりピコピコシティは自分の漫画の原体験であり、今となってはそれが本当に良かったと思う。
例えばこの画像を見て欲しい。

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漫画は“愛作”“ブルース”“みみ美”の3人の登場人物をメインに進行していくんだけど、小学校4年生向けの読者ページで、折檻シーン。
ご丁寧に「とんがった上にすわって、おもたい石をのせられるのですごくいたいぞ!!」と説明入りだ。
「いくらなんでもやりすぎよ!!」って、軽いたしなめ方も面白すぎる!

または、これ。

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全てが下らなくて最高なんだけど、特に“かんちょうぶしごはん”の絵がヤバい。
“かんちょう”なんて、小4男子は意味もわからず指で友達のケツめがけてブスッとやるくらいのもんなのに、まさかのリアル描写。
子供に全く媚びていない。
こういう、意味はわからないんだけどなんだか面白く、そして大人になった今あらためてそのすごさに気付けるような内容を学研の学習雑誌でやっていたなんて、本当にシビれる。

これもすごい。

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読者に「学研の本を切り取ってコラージュを作ってね」と呼びかけているんだけど、モデルの女の子を使って、作者自らやりたい放題。
悪ノリってやつだ。
このモデルの女の子は、このページを見てどう感じたんだろうか?

子供の頃の体験だから補正がかかっているとかいうことは全くなく、今読んでも最高に面白い。
このやりたい放題感、今の自分の活動にも影響を与えまくっていることは間違いない。


※画像は全てこちらのブログ(http://kuporin.exblog.jp)から拝借しました。
全部ではないけど当時の「ピコピコ」がかなり読めるので、ご興味がある方は是非。


話を戻すと、そう、このコーナーの作者こそが、くぼやすひと先生!

僕は以前から好きな、影響を受けた漫画家としてくぼ先生の名前を挙げることも多く、ふとなにかのネットの記事でそれを目にした先生ご本人が、パーティに足を運んで下さったのだ。
それもお忙しい仕事がちょうど一段落した深夜、ちょうど今まさに僕がライブペインティングをやっているという情報を目にし、フラッと遊びに来て下さったとのこと。
それまでネット上でだって、やりとりなんて1回もしたことない。
奇跡というかなんというか、自分にとっては強烈な体験だった。

ちなみにその時に僕が描いた絵はこんなの。

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遊びに来てくれていたハナイさんが撮ってくれた。

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無理を言ってちゃっかりとサインまでもらってしまった。


その日連絡先を交換し、光栄にもたまにメールをやりとりをさせて頂けるようになって、これだけでも相当信じられないことなんだけど、「今度ご飯でも行きましょう」なんて言って下さることもあった。
しかし先生はとにかくお忙しいので、なかなかその機会がなかったんだけど、先日ついにそれが実現。

お互いに家がそう遠くないということもあり、場所をお任せした東武練馬の「カフェ・ル・モンド」。

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これがまたとんでもなくいい店だった。
雰囲気はいいしご飯はおいしい!

ここで初めてゆっくりとお話が出来、先生の懐の深さや制作に対する姿勢などを伺い、夢のような時間を過ごさせて頂いた。

さらに今度は「らびっと」という喫茶店へ。

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時間が止まったような店内は居心地がよく、酒を飲んだ後コーヒーを飲むなんて習慣がない僕には、世界が広がったような感覚だった。
マスターがお客さんを見て、そのイメージで選んでくれるカップに、ココアとコーヒーのハーフ。
うまい。

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俺は薔薇のイメージか!

しかも、恐る恐る申し出てみると快諾して下さって、なんと色紙にサインを描いて頂いた!

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スラスラと具現化する、大好きなキャラクター!
鳥肌の立った瞬間だ。

「ちょっと飲んじゃったし、上手くいかないなぁ」なんておっしゃられていたけどとんでもない、すごすぎる物を頂いてしまった。

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記念に1枚。

そう、初めてくぼ先生にお会いした時に一瞬混乱してしまったのももっともで、くぼ先生は超かっこいいのだ!

ちなみに当時のくぼ先生の自画像がこちら。

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僕はずっと、2年前初めてお会いするまで、くぼ先生はこういう人だと思い込んでいた。
それしか情報がないんだから当たり前だ。

しかし実際は、自分が子供の頃からなんと16年間に渡り読者ページを担当されていた方とは思えない若々しさで、写真を見るとむしろ自分の方がおじさんみたいだ!


本当に貴重な体験をさせて頂いた一夜だった。
たまにこういうことが起こったりするから人生っておもしろいな、自分も一応物を作ったりしていて良かったな、と思う。

頂いたサインは、自分の創作机の真上に飾らせて頂きました。

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家宝です。
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