「明日への追跡」で、エレキギターの刻みを打ち込んでみて、弦楽器の入力方法について、あるていど手ごたえを感じたので、思い切って、PRISMのMy Little Trickを打ち込んでみました。原曲は、スチール弦のアコースティックギターとフレットレスベースのデュオです。
フュージョンといえばカシオペアとザ・スクエアしか知らなかったときに、プリズムを知るきっかけになったのが、このMy Little Trickという曲なんですが、圧倒的なテクニックと、スパニッシュなイメージのメロディーの為か、なぜか、日本人が演奏しているようには聞こえませんでした...。弦楽器をシンセで打ち込みするときに、どうしても表現しづらいのが、プリング、ハンマリングといった、ピッキングをしないで音程だけ変化する奏法。たらり〜、てぃろり〜、れろれろ〜といった語感が合う奏法なのですが、これをポリモードのシンセで演奏しても、単にたたた〜、てててて〜、といった感じになってしまい、レロレロしてくれません。かといって、モノモードで演奏しても、なんか違う....。もう、これだけは、いくら発達したPCMシンセでも、無理です。
ただ、Fantomの場合、すでにハンマリング、プリングを含めた波形を内蔵しているため、ヴェロシティースイッチで、一定以上の強さで弾いたときにだけハンマリング/プリング音が鳴る設定の音色で演奏すると、かなり近い雰囲気にすることができます。もちろん、曲のテンポがどうであっても、ハンマリング/プリングのタイミングは変わらないので、使える速さは限られるとは思いますが、今回の打ち込みには十分な効果を発揮してくれました。
今回も、耳コピー&リアルタイム入力&編集で曲を構築しました。20年前に一度、MTRを使っていたころに多重録音したことがあり、手が曲を覚えていたので、入力は早かったですが、その数倍の時間を、発音タイミングとヴェロシティーとデュレーションの微調整に割きました。ギターっぽく弾いたつもりでも、案外鍵盤入力のクセというのはデュレーションに現れます。特に16分音符が続くソロ部分は、デュレーションを32分音符ぐらいに短く設定すると、ギターっぽくなります。あと、ギターのカッティングですが、弦を低い方から順番にかきならすとわずかに発音タイミングがずれるので、和音をダーンと入力したあとに、一音ずつ発音タイミングをずらしていきました。

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