線文字Bのページ
シンセサイザーとかテルミンとか弾いてます。
線文字B(センモジビー)と申します。 絵文字とか頭文字Dとかと間違われます。 プログレ、フュージョン、シンセがたくさん入ってる音楽が好きです。 今はテルミンを年に数回、人前で披露しています。 そのうち、テルミンのCDが出せたらと思っています。
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2011/8/6
「Ensoniq SQ80」
今日に生きる楽器
ボタンの数が少ない割りに使いやすく、複雑なパッチが組める。
【概要】
1988年発表 PCM音源(3DCO+1VCF+1VCA)
同時発音数:8 鍵盤:61 プログラム数:40
シーケンサー(約20000ノート)、
FDドライブ内蔵、エフェクトなし。
イニシャルタッチ、ポリフォニック・アフタータッチつき
定価:298,000円
【発売当時のこと】
88年といえば、私はDX7とPOLYSIXでカシオペアのコピーバンドをやっていました。ギターやベースのパートはそこそこエフェクターをそろえればそれっぽくなっていたのですが、この2台では到底カシオペアの音には到達できないなあ、と思っていました。DX7はどうしてもピアノの代用になることが多いので、パッドやソロ等POLYSIXにまかせていたわけですが、特にブラスサウンドについては非力だなー、パッと華やかでジューシーな音の出るシンセがほしいなと思っていました。
その頃、ENSONIQからSQ80という変わったデジアナシンセが出ると、DX7の音色作成でおなじみ『生福』の福田氏がキーマガで絶賛していました。あの福田氏のことですから、スンゴイ音が出るんだろうなと思っていましたが、実機に触れるチャンスはありませんでした。それから数年後、SQ80の後継機種としてVFXが発売され、これを店頭で弾いてみるまで、ENSONIQの音を聴くことが無かったわけですが、その音を聞いた時『このメーカーのシンセと、もっと早く出会うべきだった』と後悔しました。ちょっと荒っぽい印象はあるものの、太くて明るい音色、鮮やかな音像、立ち上がりがガツガツ来る感じ。これまでの日本のシンセには無い音でした。
その後も、中古ではVFXやSDはよく見かけましたが、SQ80は皆無でした。日本では人気がなかったのか、ネットを検索してもSQ80でヒットするのは日本語のサイトでは2,3ぐらい。現物購入に至ったのは99年。大阪日本橋の祖父地図で25000円でした。いまでもいい買い物だったと思います。
【案外無いアイデア】
このシンセの何がすごいかを、私なりにまとめると下記に集約されます。
1)オシレーター:3基内蔵。
2)モジュレーション:デスティネーションの自由度が高い。LFOは3基、EGは 4基内蔵。
3)音色プログラムを呼び出しやすい表示とボタン配置。
4)パラメーターの一括表示。
5)必要最低限のパネル印刷
6)ポリフォニック・アフタータッチ対応。
見出しを列挙しただけでも、そこにSQ80の魅力が十分に現れています。21世紀になって10年以上経ち、さまざまなシンセサイザーが発売されましたが、見渡してみれば、(アナログの操作性を備えたバーチャルアナログを除いては)、つぶしの利く音色プログラムを積んだPCM音源が一番幅を利かせています。しかし、それらのシンセサイザーに上記の要素がどれだけ盛り込まれているでしょうか?
確かにそれらの機種の音は『使える音』です。どんなジャンルの音楽にでも対応出来そうな気さえします。しかし『ワクワクする音』とは思いません。シンセサイザーの醍醐味は、自分で自分の音を作ることにあるはずなのに、正直、エディットする気にならない。それは一体なぜなのでしょう。
【音作りをしたくないシンセサイザーが多い理由】
第一に、技術の進歩で音源波形そのものの完成度が高いことが裏目に出てシンセサイザーというよりはプレイバックサンプラーの様になっている事、第二に、パラメーターの構成が複雑でユーザーが手を出しにくい事。第三に、ユーザーの意識が、シンセサイザーの役目が、『音を作る道具』から、『楽曲を作る道具』に軸足が変わってきて、メーカーもそれに迎合するような構造の製品リリースに躍起になっている事等が挙げられます。
このSQ80には、後継機種のVFXやVFX-SDシリーズがあり、これらも同様にアクの強い音を奏でることができるのですが、これらENSONIQ社のデジタルシンセは、反論を承知で言ってしまえば、そういう音作りの楽しみを感じることができる最後のPCMシンセサイザーではないか?とさえ思ったりします。そういうユーザーフレンドリーなSQ-80の魅力を紹介したいと思います。
1)オシレーター
3基内蔵。
SQ80にはオシレータが3基あるわけですが、これを一旦触ると、2基のシンセには戻れません。たとえば、二つのオシレータでデチューンをかけたストリングスサウンドを作る場合、二つのオシレータの厚みを残したまま、もう一つのオシレータでオクターブ下を鳴らしたりすることができます。もちろん3つとも同じ音域設定にして、デチューンをかけることもできます。このリッチな感じを2基のオシレーターのシンセで再現する場合、二つの音色をレイヤーさせなければならず、余計な手間がかかります。一つのプログラムの範囲内でリッチな音が出ると、レイヤーを組む手間暇が省けて、音楽製作や演奏に集中できるという、別な利点を生みます(もちろん、SQ80はレイヤーやスプリットを組むことも可能)。
2)モジュレーション
デスティネーションの自由度が高い。LFOは3基、EGは 4基内蔵。
普通、フィルターに専用のEG、音量には専用のEGがぶら下がっているものが多いのですが、SQ80の場合、デスティネーション(モジュレーションをかける先)が自由に設定できます。二つのEG(もしくはLFO)をフィルターにかけたり、オシレーターごとに別々のEG(もしくはLFO)をかけたりすることができます。ブラスやストリングスの音を作るときにも、変な音を作るときにも重宝します。
3)音色プログラムを呼び出しやすい表示とボタン配置。
音色プログラムを呼び出して、その内容が液晶画面に表示されるのは、いまのシンセでは当たり前ですが、どういうわけかその画面に一つのプログラムしか表示されないものがほとんどです。またプログラムを呼び出すという基本的な行為でさえ、テンキーで番号を入力したり、ダイヤルを回したりという非音楽的な操作を必要とするものがほとんどです。しかし、SQ80の場合、蛍光表示管パネルにプログラム名が一度に10個まで表示され、そのプログラム名の上下に配置されたボタンを押すことで、ほしいプログラムを直感的に呼び出すことができます。パネルの空き地に、プログラムの番号を書いたメモを貼る必要がないのです(昔は、そういう紙を張るのがステイタスみたいなところがありましたけれども)
4)パラメーターの一括表示
プログラムをエディットする場合、たとえばフィルターならフィルター、オシレータならオシレータのすべてのパラメーターが一括してここに表示されます(写真はフィルター部のパラメーター表示)。そして、プログラム呼び出しと同じように、変更を加えたいパラメーターの場所のボタンを押せば、すぐに編集可能となります。『階層の樹海』をさまようかのようなストレスを感じさせないのも、楽器としての大きな魅力ではないでしょうか。
5)必要最低限のパネル印刷
これは、直接、機能や、音色には関係ありませんが、パネル上の印刷が非常にすくなく、すっきりしています。日本のシンセの場合、ロゴだの、なんやら音源方式だのといったデザインや、一つのボタンに複数の機能が割り当てられている事から、煩わしい印刷が多数施されていますが、SQ80の印刷は必要最小限に抑えられています。これで操作が分かりにくくなることがあるかというとそういうことは全くといっていいほど無く、却ってスッキリして好感がもてます。
6)ポリフォニック・アフタータッチ対応
。
これは、新しい機能ではありませんが、なぜかこれが搭載されている機種は非常に限られています。アフタータッチは、鍵盤を押し続けているときに、鍵盤から指を離さず、継続して圧力をかけることで、ビブラートをかけたり、フィルターを開閉したりといった使い方がされることがほとんどです。たいがいのポリフォニックシンセでは、和音を弾いた時、どれか一つの鍵盤に圧力をかければ、すべての音に均等にビブラートがかる構造になっています。しかし、ポリフォニックアフタータッチは、その名の通りアフタータッチが『和音』なわけで、おのおのの鍵盤に同じように圧力をかけないと、同じ効果が得られないわけですが、逆を言えば、ノートごとにバラバラに効果をかけることができるわけです。これは『変な音』を作る上でも、非常に役立ちます。
【おすすめの音色】
デジタルシンセでありながら、フィルターを備えているので、音はアナログ感覚です。PCM波形は、ピアノ、ベース等も用意されていますが、サンプリングタイムが非常に短く、あっというまにループに入ってしまうので、プレイバックサンプラーに徹することができるというほどリアルではありません。しかし、それが却って、いい味を生みます。
1)ソリーナ
ここではKorg Polysixやソリーナ等に代表される、3相コーラスのストリングス音を紹介します。アナログシンセの頃は、オシレータの波形をノコギリ波や、矩形波にPWMをかけたり、片方のオシレーターだけにビブラートをかけたりするのが、常套手段でした。SQ80についても同様に、すべてのオシレータをノコギリ波にしてデチューンをかけるだけでも、かなり良い音がしますがそれだけでは面白くないので、さらにオシレータごとに違うビブラートをかけます。こんな組み合わせでやってみました。
LFO1とLFO3 → OSC1
LFO2とLFO3 → OSC2
LFO1とLFO2 → OSC3
それぞれのLFOは、1は遅め、2は中ぐらい、3は早め、とスピードを変えることで、自然なコーラスのズレが得られました。
2)メロトロン
これも、ソリーナと同じようなオシレータとLFO設定にしますが、波形がポイントで、ピアノの波形を使います。通常のPCMシンセだと本当にピアノの音がしますが、ピアノの波形だからピアノの音にしか使ってはだめ、ということはありません。サスティン部分の波形はノコギリ波とは違った表情があり、ストリングス系に使うと、ちょっとエッジの立った感じに仕上がります。...というより、この時代のPCM波形は非常にチープで、ピアノの波形だからといって、そのままピアノの代用に使えるほどクオリティーの高いものではないのが実情です。もちろん、それを私はこのシンセの長所であると認識して使用しているわけですが(笑)。
9
投稿者: 線文字B
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投稿者:イノシシ
2015/12/8 21:44
SQ-80のすごさ分かりました!!しかし、それと同時に1OSCでありながら豊かなストリングスサウンドを産み出すPOLYSIXにもびびりました。POLYSIXはリード等には向いていないんですけれどKORGも最初からMONO/POLYとの併用を念頭に置いたんじゃないかと思えますね。高くて買えませんが…
投稿者:線文字B
2011/12/18 22:00
ご覧いただき、ありがとうございます。
最近のシンセも、作りこみをしようと思えば
できるのでしょうけれども、やはり、
直観的な操作を犠牲にはしてほしくないですよね...。
投稿者:通りすがり
2011/12/18 17:44
> 音作りをしたくないシンセサイザーが多い理由
この下り、すごく分かります。
シンセはシンセじゃないとね!
投稿者:tk
2011/12/13 1:47
失礼な質問ながらお返事ありがとうございます。
なかなかSQ-80について触れているHPが無いので、この記事はとても参考になりました、ありがとうございます。
投稿者:線文字B
2011/12/11 11:51
閲覧頂き有り難うございます。申し訳ありませんが、SQ80をお譲りすることはできません。ご了承ください。
投稿者:
tk
2011/12/10 9:27
はじめまして、SQ80で検索して辿り着きました。Ensoniq SQ80探しているんですが全然見つからず。。譲って頂けないでしょうか。。
投稿者:edit
2011/8/9 23:14
メロトロンが泣ける〜
teacup.ブログ “AutoPage”