2014/4/3

都鳥(ゆりかもめ)  古典(伊勢、源氏など)

ゆりかもめは東京都の鳥で「伊勢物語」に出てくる都鳥の事なので、それに因んで東京都の鳥となり東京臨海新交通臨海線という電車の愛称ともなった。私は乗ったことがないが、大層カーブがきつく揺れるので「ゆりかもめ酔い」になるのだそうだ。

「伊勢物語」には「東くだり」をして来た(藤原氏の姫をさらって取り返され、罪を得る前に都を退出したのだ。)男たちが武蔵の国と下総の国のあいだに流れる「すみだがわ」まで来て舟に乗る場面で「白き鳥の、嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水の上に遊びつつ魚をくふ」鳥をみつけて渡し守に聞くと「これなむ都鳥」という答えに(業平と思われる)男は

名にしおはばいざこととはむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと

と歌って、船の人たちみんなで泣いたという京の都恋しの話なのだが、今東京が都になってしまうと「みやこどり」というのもドヤ顔しているみたいで「ゆりかもめ」を使うようになったのだろう。臨海新交通というのもお台場の埋め立て地への交通網なので、本来の隅田川に掛かる「伊勢」ゆかりの「業平橋」だとか「言問橋」からはだいぶ離れている。言問橋のそばにある「言問団子」の店では丸い小さなお皿に素朴な都鳥の絵柄が付いていて、三色のお団子が食べられるのだが、由来とともにあまり人に知られなくなったような気がするのは、テレビに出てこないからだろうか。
東京湾の埋め立てで、昔はごみの島だったところに山といたカモメたちが大手町まで遡上していまでは日比谷通りの街灯や信号機の腕木に列を作って止まるようになっている。昔房州でぎゃおぎゃおと飛んでいたカモメより大分小ぶりで、これがかの都鳥かと感興に浸って眺めていた。それが母を積んで車で芝公園に行くようになってから、皇居のお堀に添ってどんどん増えていくような気がした。あまり糞害と言う話も聞かないから、いかにも東京と言う感じでいいかと思っていたのだが、先日テレビで「ウミネコ」が南下して皇居前に増えているといっていた。テレビはいい加減な事を言うからと思いつつ「都鳥」はくちばしとあしが赤いのだからと、車の窓も開けてよく見てみたがなるほど足が赤くない。全体に白くて、一回り大きいような気もした。私は実物の「ウミネコ」を見たことがないが、みゃおみゃおと啼くと言うのは他のカモメにもあると思う。本当にウミネコならばあの震災におののいて南下してきたのだろうか(私の勝手な憶測で裏付けは何もない)。それでは脚とくちばしの赤い都鳥はどこへいったのだろう。私は臨海線の「ゆりかもめ」に乗っていないし、フジテレビのあるお台場も一度車で通っただけだから何とも言えないが「なにしおはば」といつてそちらの海の方に移って行ったのかもしれない。

墨堤に杖引く数も衰えて鳥の足色とうこともなき 多香子
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