2014/5/21

家の猫C  家の猫

暖かくなってきたと言うより、日によっては暑いぐらいなので窓や掃出しのガラス戸をあけるようになって来た。家の小太郎は家に来てから一年間は外(と言ってもベランダだが)に出さないようにしてきたが、この頃は慣れてきてドアを開けるとたんにベランダに出ることを覚えてしまった。外に出るとすぐにひっくりかえってゴロゴロと背中をこすりほこりだらけになって、あげくに葉や草を噛んでまわる。

悪いことには我が家はビルの四階なのでベランダから飛び出したら怪我では済まないと言う心配がある。前に18歳で死んだ猫も高い所から車の走るのや人が通るのを見るのが好きだったが、建て替えた今のビルはセットバックで出来たベランダだから簡単に下は見られない。小太郎も年寄り猫だからそれほど外が気になるまいと思っていたが、猫が好奇心の強い動物だという事をうっかり忘れていた。
隣のビルとは1m半ほどしか離れていないので、そちらのビルの非常階段と家のベランダの間に柵を設けたり防犯には気を使ってあるが猫にとっては柵などくぐれるし、階段に飛び降りればそのまま下まで降りて行かれる。小太郎はベランダの端の一番となりと近いエアコンの室外機にのって外を見ようとするから、私は「落ちたら死ぬよ」と大声で言って息子が「降りても死なないで歩いていくと思うが」と現実的な事をいっても大騒ぎをする。それは死なないけれど、下の道まで階段を下りて行ったらこのあたりの事は知らない猫なので、迷子になって路頭に迷ってしまうという事である。今の所、よばれるとだいぶ経ってガラス戸の向こうから入れてくれと言う顔をしているからまだいいのだが。

そこで私は小太郎を膝に乗せ、話をして聞かせる。「昔、イギリスでは生まれたばかりの子は妖精の部分が残っていて、空を飛んでどこへでも行けるのだけれど、少し大きくなるとその記憶はなくなって飛べなくなってしまうと思われていたのよ。ピーターパンは生まれてじきに夜窓から抜け出してケンジントン公園で遊んだり、妖精たちと楽しく暮らしているうちに、おうちへ帰りたくなって一度は覗いてみたんだけど、また遊びに行ってしまったの。あとでやっぱり帰ろうともう一度覗きこんだら、お母さんは新しい赤ちゃんを抱いていてピーターパンは締め出された子供のままネバーランドで暮らさなければならなくなったの。こたもいつまでもベランダで遊んでいたり、下へ墜ちたりすると帰ってきて窓から覗いてもママは新しい子猫を可愛がっているかもしれないわよ。だから・・・」お利口な小太郎はそう言う時だけ、私は知りませんと言う顔をしてすましている。

ピーターはうさぎでなくてジャムパンとでたらめな話猫に教える                          多香子
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