2017/11/17

秀歌(73)正古誠子「角川短歌」10月号より  秀歌読みましょう

正古(しょうぶる)さんとは去年「不識書院」から第二、第三歌集を続けて出された時、師匠の事務所でお会いしてお茶をのんだことがある。もともと岡野弘彦の「人」から、俳句のかたと二人誌「言葉」をはじめて、後ひとりで「言葉」の代表。岡部桂一郎のサロンにいて、その後思いついて来嶋靖男氏のカルチャー教室に通い続けているという。難病を持っているため、師匠もいつも心配しているけれど、それゆえの気丈さを持っている方にみえた。「角川」10月号にお見かけしたので、12首詠から六首を引く。

「雑木々もみぢ」

翡翠は水面に信ぶる細枝に瞬時に飛び来る日差しあつめて

子規 節(たかし) 黄泉継ぎおほよそ五十年しみに思ほゆ彼らの享年

餌皿に背を立つる猫に言ひ聞かすをさなき我が言はれしやうに

宰相の言葉浮遊す 聴く人の深き嘆きにすべなく距たる

欧州に二度の敗戦経て残るドイツはコールをメルケルを育てし

雑木々のもみぢを抽きて立つ槻の黄朽葉色の枝のひろがり

五首目は先年ケストナーの跡をしのんでのドイツ旅行(歌集「卯月の庭」に詳しい)以来のドイツ良しの想いがあるように読める。(私もかなりなケストナー好き)六首目も来嶋氏の「槻の木」との関連を思わせる。第二歌集「のこるおもひを」では昔をしのんで柔らかい恋の歌が良かったのだけど、その後地味に落ち着いた歌が多くなったようだ。
私が興味を持つのは「短歌界」のなかで独自の路線を歩きながら「カルチャー」という(一般にはおけいこ事のようにおもわれる)場で師に近い人に出会い、続けていくという道である。それは今私が歩きつつある道でもあるから。
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