2020/8/21

秀歌(94)佐伯裕子「角川」のコロナの歌  秀歌読みましょう

佐伯裕子さんには同じ東京生まれ、東京育ちとして親近感があるけれど、女性の歌人が立ち並ぶ現代の中やはり苦しんでその先へと歩を進めているのだろうと思われる。ああやっぱり歩みは確かなのだと(私が)感じたコロナ詠を「角川短歌」六月号巻頭28首から引く。五月発売の六月号,原稿はもっと前であろうけど、四月の緊急事態宣言の頃と思われる。

「ときじくの雪」

ときじくの木の実となりて雪は降り桜大樹をこなごなにする

西窓に疫病の影過ぎるのを私はふっと見たかも知れない

ウィルスを纏うがごとく避けられて友の娘の看護師の日々

ロシアンルーレットみたいと言えり疫病の忍び寄る日郵便配達

「自粛」から「要請」に変わる微妙さは日本文化の「間」を見るようだ

埃くさい東京が好き烏羽玉のぱりっと乾いた海苔を巻きつつ

戻らない元の世界を知るからに思い出してみる世界の昨日

郵便配達の仕事を続けている息子さんへの心配、友人のむすめさんの看護師のコロナゆえの誹謗などへのやさしい気遣いが切ない時代を写している。どんなに言われても「東京が好き」というふるさと感には共感しかない。私たちは同じ歴史の時を歩んでいるのだから、誹謗中傷ではなく、共感といたわりで暮らしていきたいものだと思う。
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