2020/9/11

「角川九月号」結社賞の歌人から  短歌

「角川短歌」九月号の「結社賞受賞歌人大競詠」から2019年度の「未来賞」の文月郁葉さん、第三回群黎賞(心の花)の星野さいくるさんを読んでみました。
お二人とも以前「風の歌会」でご一緒して、郁葉さんは若手の中でも上手な方だなあと思っていました。chariさんと呼ばれていた星野さんが後から「心の花」に入って短期間で新人賞になったのは、やはりネットで培ったものがあったのではという気がしました。(そういえば中牧王子さんと泳二さんchariさんと三人で何か名前のあるグループだったような)今の人たちは表面的に軽やかに冗談めかしていても、裏側で大きな努力をしていることを知っています。

結社賞など、角川は結社に本を買わせるためなどと言う人もいますけど、結社の中間に来てこれからも進もうとする人に場を与えるという企画はいいことと思います。五首詠の中から二首ずつを引きます。

「素数たち」     星野さいくる

二十九年触れることなきサリンジャー君の手紙を挟んだままで

十代は素数ばかりが転がって最後のひとつをふたり歩いた

若いころを思い返す歌は多いし、それは作者がもう若くないという事だし、するっと入って来るよい歌群だと思いました。誰の「青春」の中にも「サリンジャー」はいて、それぞれの中年や老年に語り掛けて来る。その時代の思い出を連れて。
星野さんが「心の花」に入ったと知ったとき、合うのかしらと思ったのは私の間違い。それからの進歩と肩の力の抜けたこの歌が「良かった」と言っているようです。

「float」    文月郁葉

向ひ風 かばんをななめ掛けにしてあらゆる処世の術を撃ちぬけ

おのづからいのち生まれてたしかめるやうに詩を抱くヘリオトロープ

いつもうーんと唸らされる彼女の歌が、今回一読目にはあれっと思ったのです。コロナの時代に押しつぶされそうな日々の私には、あまりに抽象的な物言いが拒否感になったのかもしれません。でもこうやって書き写したり、考えたりしているうちに「未来」短歌会の(近藤芳美の)思っていた未来ってなんだろうなどという事につながるような気がしてきました。これが彼女の歌であり、「未来」なのかもしれない。そんなことを思いました。

お二人のご活躍を片隅で嬉しく、今後を楽しみにしています。
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