2021/8/20

秀歌(100)鷲尾三枝子「角川」12首より  秀歌読みましょう

鷲尾三枝子さんは、2014年2月神保町の事務所で倒れ急逝した小高賢氏の奥さんで、二人とも「かりん」の歌人であった。あの時その事は「神保町」という場所の近さで記憶に残る(出来事)であったし、中静氏とも話題に上ったものだった。
それから少しして母の介護で週一に来てくれるヘルパーさんが台東区の短歌連盟に入っているので短歌の話などするようになった。そこの短歌連盟で新しく講師に招いた先生が鷲尾さんだというのを聞いて、ああ小高さんの未亡人でかりんの中堅の歌人だと記憶にききざみついたのだった。
そのヘルパーさんは浅草の金型職人さんの奥さんで、打ち解けて話を聞いたら「大相撲の賜杯」を作った職人さんだというのでびっくりしたものだ。人生はいろいろな邂逅があって、山も谷もあるけれどどこか面白い。
鷲尾さんの東京人らしい歌を「角川6月号」12首から5首をひく

<Sailing>

背とじ糸ゆるんでゆくのか歳月は死者を増やして住所録厚し

神田川なければさびし さびしいよ東京に生まれ死ぬる私は

午後三時感染者数をたしかめる慣いの日々のもう暮れてゆく

マスクして無言に一年やりすごす瞼やせれど眼差しつよく

しんしんと耳は韻きをもとめをりことに沁みいる今日の<Epitaph>

コロナ下の東京人の気持が私と同じ様で共感するところが多い。三首目の三時は今は四時四十五分に変わったが、みなテレビやネットで発表される数字を待ってそれで一日が暮れていくのだ。それはそれで記録しておくべき日常なのかもしれないと思う。
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