2022/3/11

秀歌(105 )小島ゆかり角川一月号より  秀歌読みましょう

小島ゆかりさんが周りに介護の必要な人が増えて大変な思いをしている、という話を聞いたのはコロナの始まりころだろうか。差別ではないが、やはり女性歌人のほうが介護に大変な思いをするようだ。今一流と言われるような歌人は介護の中からも秀歌を詠んでいくのだろう。今回のゆかりさんの歌はそうではないほうの日常詠を「角川一月号」の十首+エッセイから五首を引く。

「幻想」

氷ざくざく鮮魚の桶に鮟鱇のどろんとくろい皮も濡れをり

昼の月シールのごとしマスクして眉間けぶれる冬の人びと

トラックに積まれんとする空瓶は群衆に似て夕陽に染まる

猫たちの四つの耳が立ち上がる留守宅にインターホンが鳴るとき

銀紙をひらけばにほふチョコレート雪ふる樅の木を幻想す


一首目の「どろんとくろい」かなで書かれてもすこし不気味な表現、「眉間けぶれる」の美しい表現、日常詠だけど題の「幻想」のような言葉の妙がある。そしてかって歌壇一の猫好きと言われた彼女が、やっぱり猫と暮らしていると知れる四首目は私には嬉しい歌だ。
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