2022/4/1

秀歌(106)玉井清弘角川三月号より  秀歌読みましょう

玉井清弘さんは内藤明氏の「音」の選者で高松在住の82才、何となく(私は)お名前は知っているのに歌は知らないという歌人で「屋島」で超空賞を受賞したとき(2014)に四国の歌人だと知ったのだった。私は若い人の口語短歌に興味があったので、古典的な歌風かなと敬して・・・の口だったと思う。
このごろは自分の作歌とは別に、老練な作家の居住まい正しい歌に心がしんとした思いをすることが快かったりする。雑誌などの発表より二ヶ月は前の作だろうから、この頃の落ち着かない世相よりは(コロナで疲れてはいるけれど)静かな老いの日を詠んでいる「角川短歌」の巻頭28首から8首を引く。

「滑舌のテスト」

四国路を遍路にめぐりし金剛杖焚き上げにせん山河のにじむ

道中に果てなば杖が墓標なり宿に着きなばまず浄めたり

人生の一つ終活 決断のゆらがぬ内に焚き上げたのむ

病院の地下一階は音のなし部屋の戸閉ずる放射線棟

単純に着きそうだけの一日に肩の凝りたり妻はなおさら

老いの身にどんぶらどんぶら寄せて来る大波うけて帆の傾きぬ

堰越えて落ち行く水は大波の押し寄せるたび輝きの束

躓ける本の山より『方丈記』あらわれ出でぬ歳晩の日に 


上京して国学院を出て「まひる野」に拠り、四国に帰って教職という歌人らしい経歴であるが、晩年を迎え身の回りの整理を考えている歌群であろう。戦後の教職員らしい文語新仮名使いなのは私にとって好ましい思いがある。
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