2013/11/20

帚木草  短歌

ベランダのほうき草がどんどん紅くなってきた。オレンジ系や黄色もあるらしいが、家のは紅葉らしく赤というより紅色である。これは去年、近所の人が小さな苗を一つくださって、それを大事に育てたらこんもりと形の良い鉢ができた。初めて育てたので物珍しく、「源氏物語」に出てくる帚木(ははきぎ)だと嬉しくて、成長過程を写真にとったりした。去年は普通の秋だったような気がするのだが、すっかり赤くなった後茶色くなって種を取って歌を詠んだ。それはN短のお題が「ライブ」だったので

君が目にとまればいいと帚木草秋のライブはいま盛りなり

という歌で、佐伯裕子さんに佳作にとっていただいた。これは「源氏物語」のころは茎のない帚木草は現れても近づくと消えてしまう不思議な草と思われていて、源氏と歌を交わし一夜を過ごしながらその後するりと逃げてしまった空蝉の話を下敷きにしたものだった。ここで空蝉の事を考証する気はないが「源氏」の中では地味な風なのに、なぜあんなに逃げまくるのだろうとちょっと違和感と興味をもったこともある。

今年の帚草は去年のこぼれ種から、ぞこぞこ生えてきた物を少し間引いて二鉢にして放っておいたものだ。一度うまく行った種類はそんなものだろうと手抜きになってしまいがちで、この夏の暑さにベランダの植物は水をやればいいというだけで、すっかり忘れられていた。涼風が立ってやっとあれこれ手入れをする段になって、あれ帚草が色づきかかっていると気が付いた。大きい方の鉢は十本ぐらい、小さい鉢は五本ぐらいが身を寄せ合っているので、去年の一鉢一本を丸くきれいに仕立てたのと違って一本が細く全体でやっと一叢の帚草という感じだ。
その大きな方が少し色付いてきていたが、小さい方はまだ緑のままだったから隅の方に隠れていたのを陽のあたるところに移してやった。それで大きい方がどんどん紅くなりちょっと盆景の雑木林のような風情になっている。高さ30センチくらいだから大したことはないのだけど、手抜きの上に忘れていたものが美しく育っているというのは、放っておいた女をまた見つけた源氏の好き心もかくやといううれしさである。(なんといういい加減な園芸という声が聞こえる。)

緑から紅(あか)へとかえて帚木(ははきぎ)はわが内外に強く燃え立つ                     多香子
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