2015/3/10

はちみつの威力  たべもの

 子どもの頃はハチミツが嫌いだった。べとべとして扱いに困り、甘ったるくてくせがあるしろもの。

 どんなシチュエーションでのハチミツかといえば給食に付いているもので、パンに垂らして食べていた。細長い小さなビニールのチューブに入っていて、上の丸いビニールを捻って口を開ける。でもなにかに立てかけさせておいたハチミツのチューブは、いつの間にか転げて横倒しになり、その周りは容赦なくベタベタしたハチミツ溜まりになっていた。

 残りのパンに塗るには当然足りないので、おかずに浸してみたりする。シチューなら問題はないが、豚汁だったら悲しかった。

 そんな油断のならないハチミツについて、私がその栄養価に目を見張ったのは、やはり小学生中学年の頃。「子どものための仏教童話」みたいな全集の「インド編」を読んでいた時だ。こんな話だったと記憶している。

 野心家のアジャセ王子が、実の父である王に退位を求めると、仏教に帰依している人徳者の王は、すんなり王子の言うことをきき、アジャセが王に即位する。しかしいまだ父王の人望が厚いことに気を悪くしたアジャセは、父王を牢屋に綴じ込め、食べ物を与えず餓死させようとするが、王様は不死身のようにぴんぴんしている。

 どうも母であるお妃が王様の面会に行くと、なぜか王様は顔色もよくなり、元気になるという情報を牢番からゲットしたアジャセは不審に思い、面会の現場を覗き見することにする。

 するとなんとしたこと! 王妃は体中にハチミツをたっぷり塗って面会に行き、それを王に舐めさせているではないか!

 当時は子どもだったので、「王妃、考えたな!」と感心していただけだったが、今ならさしずめ「さすが『カーマ・スートラ』の国!」と別の意味で感心しきりだ。まさに蜜の味、テイスト・オブ・ハニーだ。

 で、物語はまだまだ続くのだが、本日の記事に必要な部分はここまでなので、以下は省略する。

 最近めっきり食欲の落ちたおばあちゃんは、「おちゃわんに半分」とかというレベルではなく、一回の食事が小さなスプーンに数口という日もある。この量で、栄養価の高くて甘くて(甘いものは比較的食べてくれるので)食べやすい(固形でない)ものはなんだろう? と考えた時に、この物語を思い出した。そうだ、王妃が選択したハチミツだ!

 子どもの頃、手当り次第に本を読んでいたことが、ごくまれに役に立つことがあるが、まさにこのときは「キターーーー!」という感じだった。相変わらずおばあちゃんの体調にアップダウンはあるけれど、悪くない手応えだった。

 それにしても幽閉した王を見張る牢番は、ハチミツにまみれた王妃を見て、不審に思わなかったのだろうか。王妃は先回りして「あら、これは新しい美容術の一環なのよ、おほほほほ」とかいって、うまく誤摩化したのか。それでも王妃が帰る時には、さっきとは明らかに違っているのはわかりそうなものなのに。アジャセだってその事実を知ったとき、子どもとしてなんだか複雑な感情だったのではないか・・・。

・・・妄想は果てしなく続く。
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2015/3/12  22:14

投稿者:紙魚子

ありがとうございます、tapestryさん。ハチミツネタで書きたいなあ〜と思いつつも、ちょっと寝かせておいたら、いい感じに仕上がりました(笑) 最近、岸本佐知子さんのエッセイを読んだばかりなので、妄想力に磨きがかかったのかもしれません(笑)
 そうですね、tapestryさんのコメントを読んだら「はちみつトースト」、私も食べたくなりました。地元産のハチミツはさらっとしていて、マイルドな甘さで美味しいのです。

2015/3/12  0:39

投稿者:tapestry

はちみつで繋がった給食とカーマ・スートラ(←ググりました(笑))とおばあ様のお食事…何というふり幅なんでしょうか!あっぱれ!妄想力です!
つい私も妄想が伝染して実家でよく食べた、厚切りはちみつトーストが猛烈に食べたくなりました。


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