2016/4/30

「国宝 信貴山縁起絵巻」  展覧会

 さて、いよいよ目的地に到着! オレンジと黄色の看板がハデハデしいが、絵巻自体の色味はあっさり。

 しかし絵巻の内容は平安時代のSFだ。日本の最古の物語が、月の世界の住人が竹から生まれて月に戻るという「竹取物語」だから、平安の絵巻がSFだって、ちっともおかしくはない。むしろ正統かも。

 今回拝見するのは、「国宝 信貴山縁起絵巻」で、「山崎長者巻」、「延喜加持巻」、「尼公巻」の全三巻。これらの一部は京都の「大絵巻展」などで見たことはあるけど、三巻一挙公開は初めての試みだったので、とても楽しみだった。

「毘沙門天王の聖地として聖徳太子により創建されたと伝えられる信貴山朝護孫子寺(しぎさんちょうごそんしじ)。その篤い信仰のもとに制作された国宝 信貴山縁起絵巻は、日本三大絵巻の一つに数えられる平安絵画の名品として知られています」(奈良博HPより)

 ちなみに三大絵巻のあとふたつは、『伴大納言(ばんだいなごん)絵巻』、『源氏物語絵巻』。それに『鳥獣人物戯画』を加えて四大絵巻といわれることもあるそうだ。

 「山崎長者巻」では、托鉢にきた命蓮を邪見にあつかい、なにも施さなかった長者が、神通力を持つ命蓮に、托鉢の鉢に乗せて蔵ごと米を持って行かれる話。蔵や米俵が空を飛ぶという、痛快な絵柄がわくわくする。その後、詫びを入れた長者に、米俵だけ返すのだが、空飛ぶ蔵や米俵に驚くひとびとの表情がまた楽しい。

 その奇想天外さを体感してもらおうと、奈良博の入口にも「空飛ぶ(宙に浮く)米俵」がディスプレイしてあった。

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 「山崎長者巻」については、室町時代までは荏胡麻油で大儲けした長者が山崎にいた、という話を昨年、山崎ウォーク建築ツアーで詳しく聴いていたので、より深く味わえたかもしれない。油を搾る器具の模型まで見せてもらっていたのだ。それも絵巻には描き込まれていた。

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 という風に、ビジュアル的に「山崎長者巻」が、もっともインパクトがあるのだけど、あとのもよかったよ〜!!

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 「延喜加持巻」は、醍醐病気の天皇を治す祈祷をしてほしいとやってきた従者に命蓮は、「自分は行く事はできないが、ここで祈祷をする、祈祷をした証拠に剣の御法を天皇のもとに使わす」と約束した。ある夜、剣を纏った童子が訊ねて来る夢をみた天皇の目が覚めると病が癒えていた、という話。

 その御法童子のかっこいい事ったら! 雲に乗り風を切り、剣の衣をなびかせて。回る法輪、スピ―ディな雲の表現は、まさに現代のマンガにリアルに続く表現法で、平安時代からこの表現が!?と驚くこと請け合い。

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 『尼公巻』は、行方知れずになった弟・命蓮を探して三千里?を旅する姉の尼公の話。話は地味だけど、画面は地味じゃない。とくに大仏の前で複数の尼公を描いて時間経過を表現しているのなんて、素晴らしい。なにより尼公の表情がいいのなんのって! ついに姉弟が出会った!という場面は、感動的な大仰さはないけれど、その淡々さのなかにジンと来る温かさがしっかりと伝わって来る名品だ。そしてこの巻にも、あの「長者の蔵」の一部が見え隠れするという場面があり、お茶目な演出がなされている。

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 その他、異色・出色の絵巻『地獄草紙』も何点か拝見でき、グロいのに、どこか可愛げやユーモアのある絵に釘付け。糞尿の池で針口という虫に食われる亡者たち、とかね。この「針口」が愛嬌があってお茶目だ。お目にかかりたくも食われたくもないけど。


 その他、毘沙門天像のいろいろや、聖徳太子にまつわる品々、絵巻のコレクターだった後白河法皇など、絵巻から広がる世界が展開されていた。さすがは奈良博。

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