2016/5/31

口から食べるということ。  テレビ/ラジオ

今日は見たかった番組の再放送を見られた。「プロフェッショナル 仕事の流儀」。 今回は経口で食事をとれなくなった患者さんを、食事介助によるリハビリで、自力で食事をとれるように全力で援助する看護士が活躍する「小山珠美 〜食べる喜びをあきらめない〜」だ。

 小山さんは看護士で、「摂食えん下障害」を抱える人たちの食べる力を回復させるエキスパートだ。彼女が担当した患者2千人のうち9割の方が、再び食べることができるようになった。彼女は独自に食事介助の技術を磨き上げ、「摂食えん下障害看護・認定看護師」の資格が創設されるのに際して、主任教員に選ばれたパイオニアなのだ。

 口から食べられなくなる障害や病気をもつ人は、肺に食べたものが流れてしまう誤嚥により、肺炎に至る恐れがある。安全医療として胃ろうの手術をし、経管によって胃に直接栄養を送り込むことになり、それはそれで患者さんの衰弱を防ぐ医療の前進でもあることを、小山さんも認めている。

 しかしその弊害もある。食事による口からの刺激がなくなることで、「生きる力」が弱まり、脳への刺激が低下する。そこから患者さんの無気力や寝たきりを助長してしまうらしい。もしわずかでも、口から食事をとれる可能性を患者さんが残しているのなら? その疑問から出発したのが、「口からの食事重視」な介助とリハビリだったのだ。

 番組の後半で彼女が担当したおばあちゃんは、最初意識も朦朧としており、「さすがにこれは無理では・・・」と素人目にも(だから?)思われたが、彼女は枕を重ねタオルを使って上半身をベッドから起こし、声をかけつづけ、触れ、刺激を与え続ける。回を重ねるにつれ、おばあちゃんの目が開くようになり、瞳に力が見え始める。

 それでも医師が丁寧な検査の後、「明らかに誤嚥があるので胃ろうの手術を」と判断せざるをえない状況にあり、「さすがに凹みました〜」と番組スタッフに心中を吐露する場面も。でもすぐ「がっかりしているヒマはないので、気持ちを切り替えないと」と自分を鼓舞。2週間の猶予期間をもらい、その間になんとか経口で食事を摂れるよう、誤嚥の原因を探し、対策を練る。

 医師の判断や意見を尊重しつつも、患者さんの意志やがんばりにも寄り添い、あきらめることなく独自の工夫と努力を重ね、物理的に無理なところは看護スタッフの協力も仰ぐ。

 一番重要なのは、むろんおばあちゃん本人のがんばりだ。幸いガッツのあるおばあちゃんだったらしく、「彼女が一番がんばっているんだから、私もがんばらないと」と小山さんに言わしめる程。

 その甲斐あり、「はい、お疲れさまでした!」という小山さんの呼びかけに「おつかれ・・・」と発語までできるようになり、小山さんとともに私も感涙。介護や介助は「たいへん」という言葉であらわされることが多いけれど、創意工夫やアイディアを重ねれば、大きな感動や喜びだって、少ないとはいえあるものなのだ。

 ついに2週間後の再検査では、見事に誤嚥はなくなり、医師から「経口で食事を続けましょう」という判断と言葉をもらえたのだ。

小山さんの言葉も素晴らしい。「(プロフェッショナルとは・・・)自分の信念を、人からの信頼に変えてゆくことができるひと。そこを目指したいと思います」

 自分の理想に邁進するだけじゃダメ。現実を直視し、自分とは違う意見にも耳を傾け、チームのスタッフと信頼関係を築け、自力でできないところは他人に頼ることもできる人。彼女の長いキャリアの積み上げがあってこその言葉なのだと思う。
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